環境論(3年生)

  3年生の環境論では3年間の学習の集大成として,「環境」をテーマに1年間かけて論文を作成します。
 今年もすばらしい論文が数多く完成しました。ここでは,その一部をご紹介します。  


 生徒の論文 (一部抜粋して紹介)

テーマ 「大気の変遷と環境への影響について」 最終章より

 現在,地球上では様々な種類の環境問題が起こっており,そのすべてを一気に解決することはまず不可能である。また,これといって確実に環境問題が解決するというものもないため対策を取りにくいものが多いというのもまた,環境問題の難しいところなのかもしれない。
 しかし,環境問題が起こったおおもとの原因は,自然の自己修正力を人類の資源の消費が上回ったことが原因なのであるから,それを上回らない程度まで消費を抑えれば,少なくとも環境問題の進行は停止するであろう。だが,これは最も不可能な案であることは間違いない。現在のエネルギー消費量をどんなに切り詰めたところでそんな水準まで落とすことは不可能である。人口も過去とは比べものにならないほど増加している。ならば,どうすればよいのか。
 環境問題への対策を考えるに当たって重要な考え方がある。持続可能性とは,ある物や活動が人間生活を維持し持続させていけるのかどうかという可能性について指す言葉である。持続可能な開発(持続可能な発展,持続可能な社会)は持続可能性を最大限尊重した開発を進めていくことである。持続可能性を保持しながら資源やエネルギーなどを利用していく社会を循環型社会といい,省資源,省エネルギー,ゼロ・エミッション,3Rなどさまざまな形がある。
 環境問題は,産業活動も主原因であることに間違いないが,個人などの民生活動がもう一つの主原因でもある。産業活動については,その組織的な特徴を生かして一律な対策をとり,罰則などを定めるのも容易である。しかし,個人については,多種多様な考え方や生活様式(ライフスタイル)があるため一律な対策をとるのが難しく,罰則を定めるのも容易でないため,一人ひとりの考え方や行動に委ねられている部分が大きい。そのため,民間による活動が盛んになる傾向にある。
 現在,営利を目的としない市民活動をNPOとして優遇する体制がなされてきている。また,カー・シェアリングやレジ袋の使用自粛など草の根レベルでの環境に対する取り組み(草の根民活)も盛んになってきている。
 それ以外にも,非政府組織という形での市民活動のほか,国家的な取り組み(排出規制,環境基準,研究)や企業による取り組み(環境技術の開発,ゼロ・エミッションの追求,リサイクルなど)といった様々な形で環境対策や環境保護運動は推進されている。このような活動に参加するのも環境問題に対する一つのアプローチであると言えるだろう。
 世界規模での対策は,国連などの国際機関が主体となり,さまざまな条約や規約,宣言によって,進んで行っている。まだ完全ではないが,多くの企業も環境問題に対する問題意識をもち対策を行い始めている。また,キャップ・アンド・トレードのような新しい対策も生まれてきており,今後も対策を講じ続けるであろう。
 やはり,これからの環境問題で最も効果のある対策は,人類一人ひとりが自分も環境に少なからず影響を与えている存在であることを自覚し,自分自身の行動に気を配るということが最も重要となるのである。国家や企業が率先して環境問題に取り組んでいる中での自分の取るべき行動を,今一度確認すべきである。

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